Mr.forest

街の喧騒から離れ自然の環境に身を置き、そのワイルドネスを肌で感じながら非日常の時を過ごすことを醍醐味の一つとするアウトドアアクティビティにおいては、建築はできるだけ小さく身を隠し、自然と対峙する人の活動をおおらかに後押しする存在であるべきだ。

Mr.forestは、避暑地として有名な栃木県那須町にある1600m2の森を1日1組限定で貸切にできるプライベートキャンプ施設である。

敷地北側は那須高原へとつづく町道に面しており、昼夜問わず車の往来がある。計画にあたり敷地で野営を行い環境特性を把握。敷地北側の小高い丘の上に道路を背負う形で建物を配置することを決め、建物から南に大きくデッキを張り出す構成としてキャンプのメインヤードとした。敷地西側には山奥から流れこむ小さな水路があり、耳をすますと小川のせせらぎが聞こえてくる。デッキと少し離れた南西の小川沿いにバレルサウナを設置し、その脇の林を切り開き冷水シャワー、水風呂、外気浴のスペースを設けた。

建築の計画としては、初級者向けのキャンプサイトとなるメインデッキの他に、サポート機能として更衣室、シャワー室、トイレ、そして、デッキに面したアウトドアキッチンが必要とされた。上記機能をおさめる建築を考えるにあたり竪穴式の断面構成を参照した。寒冷地である那須エリアは凍結深度があることから地中深くへの基礎の根入れが必須となる。基礎の根入れに合わせて、FLをデッキ面から750mmほど下げることで地上のボリュームを小さく抑えつつ、厳しい自然環境から身を守る半地下の内部空間をつくり出した。また、掘り込まれた基礎にかぶせる形で7寸勾配の片流れ屋根を架け、3寸だけ傾いた柱で大梁を支えることで、テントやタープなどに見られる初源的構造を想起させるおおらかな架構をもつ建築となった。

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所在地:栃木県 那須郡 大字高久乙 伊藤3374-606

用途:プライベートキャンプ場・サウナ

設計:TAAO 會田倫久+swarm Inc. 

設計協力:高野建築設計事務所

構造設計:MAY設計事務所

施工:高野建設株式会社
竣工:2022年9月
写真:長谷川健太
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