くらすわの森 センターハウス棟

data:

所在地:東長野県駒ヶ根市赤穂16410

プロデュース:養命酒造株式会社

空間デザインディレクション:丹青社 上垣内泰輔

建築デザイン監修:TAAO 會田倫久

内装設計:丹青社 上垣内泰輔 立川美和 , TAAO 會田倫久

建築設計:ヤマウラ

建築工事:ヤマウラ

内装工事:丹青社

竣工:2024年10月

写真:ナカサアンドパートナーズ

くらすわの森

 養命酒造株式会社が手がける、おいしい・たのしい・すこやかの3つの体験を通して、すこやかなくらしを提供するブランド、〝くらすわ〟のブランドコンセプト体験型施設である〝くわらすわの森〟の全体施設計画および施設群のデザイン監修、内装デザインのプロジェクトである。養命酒蔵株式会社は1602年の開業以降、長野県上伊那郡にある中川村大草を本拠地として薬用養命酒の製造を行なってきたが、1972年、良好な製造環境と広大な敷地を求めて中央アルプスの麓である赤穂の地に移転。以来53年間に渡り、アルプスから流れ込む豊富な伏流水の恵みを享受しながら、豊かな森とともに成長を続けてきた。2020年、くらすわのブランドの思想をより多くのお客様にお伝えする場としてブランドコンセプト体験型施設を作れないか、とのお話をいただき全体施設計画および施設群のデザイン監修、内装設計を丹青社+TAAOで担当した。 敷地は、工場の周りを取り囲む30haに及ぶ〝森〟である。もともと健康の森という愛称で親しまれ、薬用養命酒の工場見学者の散策路として開放されていたその森は、約50年にわたり働き手の方々が手塩にかけて育てあげ、時に厳しく、時に優しく人々に寄り 添いながら企業と共に成長してきた良き隣人のような存在であった。 くらすわの根底に流れる、長い時の中で育まれた人と森との間のすこやかな響きあいを、来訪者にも感じていただくため建築群はどのようなあり方が望ましいかを考えた。

 人と森の関係のすこやかな体験の建築のデザインで橋渡しするにあたり、長い時の中ですり減らない環境に対する建築の自律性、そして来訪者が時に建築の存在を忘れ去り森や環境と体験にそっと寄り添う建築の他律性、という相反する性格を合わせもつ計画とした。 具体的には、各施設の最もコアとなる体験から導き出された、純粋幾何学を各棟の平面形式に埋め込む建築デザインとした。

センターハウス

 街から森に入る境界部に位置するセンターハウス棟は、ウェルカムアンドウェルカムバックセンターと管理機能を併せ持つ建物である。

 配置の特性上、施設の中でゲストが敷地へ到着した時に最初に目にする建築であることから、周辺環境から際立つ外観がふさわしいと考え、外壁を純白のスパンドレルとした。機能特性上、これから森へと向かう人、森の散策から帰ってくる人、施設を周遊しながらフラッと立ち寄る人、そして森の手入れを終え帰還するスタッフなど、あらゆる方向からのアプローチやシチュエーションの人々を等しく迎え入れる施設であるために、建築は4立面が等しく外壁から4m飛び出した庇空間を持つ正方形の建物とした。

 西面の庇には、駒ヶ根を巡回するミニバスや高速バスの停留所と施設全体マップ、トイレ等の諸機能が配し、森への旅立ちを備えたゲストをサポートする庇とした。北面の庇は、車寄せと広場に面しており施設の周遊を終えたゲストの待ち合わせやホッと一息つける庇とした。合わせて、北面には屋上へ続く階段室が面しており、階段を駆け上がると南北のアルプスを一望できる屋上広場がある。南面の庇には、南アルプスを一望できる間口いっぱいのロングベンチを設けた。建物に背中を預けベンチに腰を下ろすと天気のいい日はアルプスの連なりがどこまでも見わたせて南信州の自然の一部となったかのような開放感がそこにはある。この風景をゲストだけでなく、日々そこで働く人にも楽しんでもらいたいと考え、執務室に高窓とロフトを設け、こちらも窓に面して間口いっぱいにカウンター席を設けた。執務の合間に山を眺めて一息つける少しだけリッチなワークスペースである。

 この建築の内部空間はさほど大きくはない。しかし、施設を訪れたすべての人はこの奥行きの深い庇の下に集まり各々の好きなように時間を過ごし、また散ってゆく。そんな人々の活動の起点となり、おおらかに包み込む半屋外の歓待空間をデザインした。

Previous
Previous

くらすわの森 ライブラリー棟

Next
Next

高輪ゲートウェイ駅 EKI PARK